ホーム お店案内 タウンマップ 探検記 編集後記

     麺屋武蔵 二天(にてん)    

池袋駅周辺は、いわずとしれたラーメン激戦地です。
昔からの名店ががんばって繁盛している一方で、次から次に新店や支店が出店されてきます。
さて、その激戦地池袋駅東口明治通りを南下、「光麺」、「ばんから」、「無敵家」の行列を横目に、アンダーパスの通りを左へ曲がった東通り商店街をよ〜く観察しながら歩いていくと、右側に赤い小さなドアがあります。これが「二天」です。

「二天」は、アノ「麺屋武蔵」の支店、ではなく「麺屋武蔵」店主の山田氏プロデュースの新店だそうな(ついでに「麺屋武蔵青山店」も「麺屋武蔵青山〈せいざん〉」と命名し直したとか。つまり、「麺屋武蔵」は唯一新宿店のみ、という趣旨であると)。

ということでしたが、2003年12月、表題のとおり名称変更となりました(2004年1月追記)。つまり、支店という位置づけにななったんでしょう。メニューも変わったようです。

      豚天ら〜麺
 @750円

 麺は、中細のややちぢれ麺で、固めの仕上がり
 スープは、やや濁りがあるとんこつベースにカツオの香りが強い魚介系が加わった濃いものだが、食べ進むうちに、豚天の味に負けてしまう
 トッピングは、豚ロースの薄めの厚切り(^^)に青のり入りの衣をつけて柔らかめに揚げた豚天
 カウンター上には七味唐辛子
   

この「二天」は、山田店主の思いを表現した店です。
すでに賢明なる読者の皆さんは、2003年と「麺屋武蔵」という名称から、「二天」が宮本武蔵にちなんだものとお察しでしょう。

え?なぜ2003年が関係するのかって?
そりゃ、あなた、天下のNHKの2003年大河ドラマが「宮本武蔵」だからですがな。
で、「二天」とは?
そりゃ、あなた、武蔵が自分の二刀流を「二天一流」と称したからですがな。

武蔵の絶筆となった兵法書「
五輪書」地之巻に、剣法を極める者の九つの条件が記されています。
第一によこしまなきことを思ふ
第二に道を鍛錬する処
第三に諸芸にさわる処
第四に諸職の道を知ること
第五に物事の損得をわきまゆる事
第六に諸事目きゝをし覚ゆる事
第七に目に見えぬ処をさとる事
第八に僅かなる事にも気を付る事
第九に役に立ぬことをせざる事
つまり、
邪心を捨てて誠実に、ラーメン道を邁進し、関連深き陶芸やインテリアに親しみ、関連深き農法や漁法を知り、店内のあちこちに注意を払い、気付きにくい点をわきまえてお客に十分気配りをし、雑誌やTVでの余計なPRや湯切りで踊るような無意味なパフォーマンスなどはするな、ということでしょうか。
おっと、第五を忘れちゃいかん。でもこれは、別に損得勘定で行動しろ、ということじゃあなく、
物事一つひとつについて、無駄をなくし、有意義となるよう働け、ということでしょうか。
あの○○店や△△店の店主に読ませたいような話じゃありませんか(^^)

この「二天」はその思想を実現できているかどうかはさておき、
店内のインテリア、厨房機器はかなりシンプルかつ清潔で、メニューの少なさもあって、一つの道を究めようという心意気は感じることができます。

豚天や追加トッピングの味玉天は、注文の度に衣をつけて揚げ、その進行度合いとラーメン製作の進行度合いをスタッフ同士が声を掛け合って同期をとっています。

この天ぷら方式のトッピングは、排骨(パーコー)麺という似たような料理法もありますし、かき揚げを載せる「麺や阿闍利」がありますが、揚げ具合や衣など、独自のものといってよいでしょう。これ以外のトッピングは一切なしという潔さが、果たして受け入れられるかどうか。作者としては、どうかなと思いますが。
受け入れられなければ、この店は閉店するのでしょうが、それもまたよし、と武蔵も言うに違いありません。

さて、武蔵は、岡山に生まれ、熊本に没するのですが、いずれの地にもえにしのあるσ(^^)としては、「二天」の繁盛を願ってやみませぬ。(長文読了感謝)